ドライブ.マイ.カーの不思議

ある日、新宿末広亭が招待客入場日で異常

に混んでいた。ミツをためらってここはあき

らめ新宿のマチをぶらぶらしていたら映画

館の看板が目についた。映画など最近まっ

たく観ていない(那須周辺に映画館がない)。

 そこで何気なく入ったのがドライブ.マイ.

カーだった。これが今話題の映画(話題に

なる前の映画?)とはまったく知らなかった。

 何かいわくありげな男が高級車の後ろに乗

ってその運転手の女が笑顔一つしないでぶつ

ぶつと受け答えしていた。私は映画は動画、と

いう感覚がある。車なら雪道でスピンして大木

に衝突するとか崖から転落するとか、動転する

ような動きがほしい。

 ドライブ.マイ.カーはまったく何もない。

つまらない。あるのは男と女の会話だけ。こん

なことなら二人で電話させたらいいのだ。男

と女の、二人だけの会話など私には何の興味

もない。つまり私にはのぞき趣味などないの

だ。

 それがアメリカで大人気、また何とか賞も

もらったとかもらわなかったとか。こんな私、

ボケかかったというなら言え!